57版目のエゴン・シーレ

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以前、私は自分のポートフォリオを増刷するのために作品の写真をカラーコピーで印刷した事があった。
しかし、それは色合いが原版とはまったく異なるといって良いほどの粗悪な写真となって出てきた。
その時に「この印刷物をさらにカラーコピーにかけると、」もっと劣化した状態で出てくるのではないか」という疑問と同時に、「私達がメディアを通して普段を見ているものは、全てこういうものなのかもしれない」という不安を抱くようになった。

私は、昔エゴン・シーレの「縞模様の服を着たエディット・シーレ」という作品をオランダのハーグにある美術館で撮影したのをおもいだし、この作品で実験を試みた。
デジタルカメラで撮影してきた「縞模様の服を着たエディット・シーレ」の写真のデータをプリンターでプリントアウトし、それをカラープリンターにかけた。そして、その印刷されて出てきたコピーをさらにカラーコピーをかけ、それをさらにカラーコピーをかけ、それをさらに、、、、という行為を永遠と行った。
この絵はすでに数版目で色、形がいような変化を遂げた。

今回は一番不思議な状態で出てきた56版目の作品を選んで壁に展示した。タイトルにある57版目には1版足りない。では、その最後の1版とは何か。それは、この作品を見ている観覧者自身の 「目」である。
様々なものを観ている私達の「目」も1つの印刷的要素が含まれているのではないだろうか。

人の「目」、これも脳による一種の版である。
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2004
Copy paper,Painting(Egon Schiele)